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「致良知」生活

森 雅志 1999.11
地球を大切にしたいという思いから、ここのところ環境に関わるいろいろな事柄についてアンテナを高くしてきました。
特に最近は「環境保全型農業」や生ゴミの堆肥化とも連結する「循環型農業」について関心を旺盛にしています。さらには「遺伝子組替え食品」の安全性といったこともおろそかにできない問題だと思っています。

 なんと言っても私たちの生命は毎日の食生活を基礎として維持されているわけですから、摂取する食品が新鮮で安全で、安心できるものであることは大前提のことです。同時にいわゆる「旬」を大切にするという食生活も重要だと思っています。生産性や経済性が求められ、住環境を含めて季節感を喪失してしまった時代だからこそ、自然で安全な生活を回復しなければならないと思うのです。
そのためにはどうすれば良いのか。どういう姿勢で自然と向き合い日々の生活をどうしていけば良いのか。

 実はみんな分かっているのです。気づいているのです。今を生きる人ほとんどの人が知っているのです。問題はこうすれば良いと分かっていることが具体にできないということなのです。今、私たちが当面している問題の本質はまさにそこにあるのだと思います。
 知っているけれど実行できないということを乗り越えていかなくてはなりません。陽明学の言葉に「致良知」という言葉があります。良く知っているだけでは駄目なのであり、そのことを致すということが大切なのだということです。

 さて、「食と福祉と環境」を考えるという皆さんの運動こそまさに「致良知」(実践)なのだと思います。改めて敬意を申し上げ、エールを送ります。
 それに比べて、今日までのわが身を恥じながら、しかし何とか少しづつでも「致良知」な生活が実践できるようにしたいと思っています。