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メタボ脱出への日々

森 雅志 2007.10
 メタボリック・シンドロームという言葉を耳にするようになってから久しい。肥満、高血圧、高血糖だと成人病になりやすいから、そういう状態の者をメタボリックと称して注意を喚起しているのである。国民の医療費総額が30兆円を超える今、その抑制のためには成人病対策が効果的であることは論をまたない。そしてこの対策として、一人ひとりが日常生活の中で食事や運動を考えることが有効だということもそのとおりである。
だからと言って、ウエストが85cm以上の者をメタボだとして社会悪みたいに喧伝するのは厚労省の陰謀だと思っていた。85cmという数字は単なる平均値だそうだから、あまり説得力がないとも思っていた。(90cmを超える我が腹囲のことを思うと素直になれなかったということもあるが…。)
 他方、確実に成長を続けているわが身をスリム化したいという願望も潜在していた。それは健康志向というよりも、加齢につれて崩れていく体形への危機感に起因しているというところだろう。人は叶わぬ夢を追う者だ。
 ところが最近、夢に一歩近づく事態が起きた。なんと腹囲も体重も落ちたのである。最近受けた人間ドックの結果は、腹囲88.5cm、体脂肪率21.9、BMI 24.3、肥満度10.4、そしてなんと体重が69.7kgであった。ウエストは少なくとも3cmはダウンしている。体重にいたっては夢の69kg台である。告白すると一時は76kgだったのだから、大幅ダウンということになる。幸い今日も69kgを維持できていてありがたい。
 学生時代の僕はたいへんスリムで、ウエスト70cm、体重52kgという感じであった。それが、文字通り「22才の別れ」という出来事があり、酒を飲みながら感傷に浸っている間に一気に肥大化してしまい、一年でウエストが13cmも大きくなるという異常結果を招いたのであった。爾来、着実に増加を繰り返し、年初には人生最大体重76kgを記録していたのである。それが69kgにまで落ちるとは。夢は叶うということか。
 何が効果したのか。全てはカミさんのお陰である。娘がどこかで仕入れた情報を元にカミさんが苦労して調理してくれるスペシャル野菜スープを毎日食するようになってから減量効果が出てきたのだ。家族はありがたい。
 このスープで僕のメタボ脱出の日々はこれからも続くのだ。22才の体形には戻れなくても、「55才の出会い」を夢見てみますか?