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五月を迎えて

森 雅志 2008.05.05
 四月から大学生になった娘が時々メールをくれて、授業のことや新しい友達のことなどを知らせてくれる。驚くことに、初めて肉ジャガを作ったというメールもあった。新生活を楽しんでいる様子が伝わってきて嬉しくなる。一人で寂しくないかなどと案じている親の思いとは違い、気持ちが前に向かっていることがよく分かる。寂しさを感じるよりも新しい出会いやキャンパスライフのことで心が高揚しているのだろう。その高揚感こそが洋々たる未来を有する若者の特権なのだと思う。この四月から新生活を始めた多くの若者が同じように心弾ませているかと思うと羨ましさに捉われる。大きな可能性の入り口にいる若者に拍手を送ろう。
 新生活に入ると言えば、この四月から勤め始めた若者も沢山いる。市役所にも多くの新規採用職員が誕生した。研修期間が終わり、それぞれの配属先で先輩に指導されながら頑張っている彼らの様子が羨ましいほどに初々しい。何人かの新人職員に声を掛けてみたが、みんなの目が輝いている。早く仕事を覚えたいという意欲がみなぎっているようで頼もしくなる。
 新人のみならず若い職員には大きく伸びてほしいと思う。いろんな可能性に挑戦してほしいと思う。今までの公務員イメージを乗り越えて、未来型の公務員像を作り上げてほしい。そんな思いを込めて、富山市は様々な形の派遣研修に積極的に取り組んでいる。今年度も経済産業省、環境省、国土交通省、富山県東京事務所、柏崎市、岐阜市などに1年ないし2年の任期で若手職員を派遣した。また市内の企業3社に任期1年で引き受けてもらうほか、今年度から新たに三井物産本社とクラブツーリズム本社に任期2年で派遣することとした。省庁や民間企業において通常の市役所の事務とは違う領域の仕事を経験することで能力を磨くとともに、富山市役所とは異なる、それぞれの組織が持つ文化や個性に触れてほしいのである。その経験を生かして市役所に新風を吹かせてほしいのである。近い将来の市役所の活力源になってほしいのである。そんな思いを受け止めてくれる若者たちが何人も派遣研修を希望して手を上げてくれることを嬉しく思う。
 さて、新規採用職員や派遣研修職員の新生活も一ヶ月経過し五月に入った。以前よく話題になった五月病という心の病が今も多発するのかどうかは知らないのだが、張り切りすぎて疲れを溜めることのないようにしてほしい。五月は新緑の季節じゃないか。若芽が萌えあがる季節なのだ。そんなときに疲れていては若者らしくない。やる時にはやるが休む時には休む、そんな感じで頑張ってほしいと思う。五月晴れの下、体中に空気を吸い込んで、元気いっぱいの毎日を過ごしてほしい。
 新緑の五月。若芽が伸びる五月。若者たちのみなぎる若さを思えば思うほど、我が身の衰えを嘆くばかりか。彼我の差は大きいなあ。