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頑張れ!ミュージアムバス

森 雅志 2010.07.05
 2005年6月発行の広報に「バスでデート気分はいかが?」と題したエッセイを書いたことがある。市内の美術館・博物館を毎日巡回しているミュージアムバスの紹介をする内容であった。運行を開始してから6年目を迎え、いささか新鮮味が薄れてきた感じがするのでここらでもう一度話題にしてみたい。
 愛称を「ぐるりん」と言うこのバスは富山駅南のCiCビルを起点として水墨美術館、民俗民芸村、科学博物館、近代美術館、市民プラザ、郷土博物館、佐藤記念美術館などを巡回している。美術館・博物館の利用者専用のバスなので利用は無料である。ただし、乗車するためにはCiCビルの案内所や各施設で発行している専用パンフレットが必要。それぞれの施設を1時間かけて巡回しているので、どの美術館を利用するにせよ1時間で鑑賞を終えればちょうど次の便に乗れるという仕組みになっているのだ。午前10時CiCビル前発を始発として午後4時発の便まで毎日7便が運行されている。したがって使い方を工夫すれば1日のうちに複数の美術館を巡るなど余暇時間を大いに充実させることになるのだ。
 たとえば、お出かけ定期券で富山駅前まで出てきて、まずは路面電車の環状線セントラムに乗って街を一巡り、その後はミュージアムバスに乗り換えて美術館巡り、元気な方ならレンタル自転車で街中散歩、鱒寿し店を廻ったり延命地蔵尊まで足を伸ばす、なんていう楽しみかたもできるのだ。多くの市民の皆さんにこのミュージアムバスを利用して欲しいものだ。
 いや、別段富山市民に限るわけではない。調査によればこのミュージアムバスの利用者の7割近くは富山市民以外の皆さんである。そもそもこのバスが巡回している施設の中には水墨美術館と近代美術館とが含まれているが、どちらも県立の施設である。そしてこの県立の施設を目的にバスを利用したという人のほうが多いのである。つまり多くの費用を市が負担して運行しているミュージアムバスは多くの富山市民以外の利用者を市立の施設でない美術館に運んでいることになるのだ。しかしそれは全く問題にすることではなかろう。市民であろうがなかろうが市内にある施設を利用してもらう際の手助けになればそれで良い。
 そもそもファミリーパークであれオーバード・ホールであれ市民芸術創造センターであれ市民プールであれ、あるいはその他の市の施設であれ、多くの富山市民以外の皆さんに利用されている。城南公園の駐車場にいたっては県立近代美術館利用者のために市が整備したようなものだ。確かに維持管理費は市の負担ではあるけれど、だからと言って利用者を市民に限定しろという議論にはならない。ミュージアムバスの運行も同じことだと思う。以前に僕が乗り合わせた人は立山町の人だったし、先日は太閤山の人と乗り合わせた。「よく利用します」と話された言葉が耳に残る。嬉しく思う。