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よい子の味方?

森 雅志 2003.04.01
 しばらく前に「よい子の味方」というテレビ番組があった。鈴木太陽という新米保育士がつまずいたり悩んだりしながらも保育園で子供たちと触れあい、最後には感動の卒園式をむかえるというストーリー。子供の頃に通った保育園の男性の園長先生に憧れ、「男の保母になりたい」と夢見ながら育った彼の保育士人生のスタートをさわやかに描いていてほほえましかった。
 僕はほとんどドラマを見ないのだが、この番組は何度か目にした。ちょうど酒席を終えて帰宅する時間帯に放送していたからだろう。酔いも手伝ったのか、たわいもない内容ではあるが今どき貴重な青年の姿に思えて楽しかった。
 正直に言うと、僕は赤ちゃんや小さな子供が大好きである。だから機会さえあれば子供たちに話しかけたりチョッカイを出したりしている。時々はやりすぎて傍にいる母親から怖い視線を浴びせられることもあるが、大概は子供たちが笑い返してくれる。この瞬間が楽しいのだ。
 子供のあどけなさは人類の宝だと思う。従って僕らはこの宝物をしっかりと守る環境作りに努力しなければならないのだ。社会全体で育てていくことも必要だ。そのためには地域で子育てを支援したり大人と子供が声を掛けあったりという、以前は至極当たり前であったことを回復させなくてはならないと思う。当然のことだが保育所をはじめとする子育て支援施設の充実はソフトを含めて重要である。
 そんな思いもあって時々に市立保育所に足を運ぶ。園舎や園庭の様子を見たり、送迎時における駐車スペースや調理室などに注意を向けたりする。もちろん保育士の皆さんの声を聞くことは当然である。
 しかし告白すれば、僕がせっせと保育所に足を運ぶ本当の理由は子供たちに会いたいからなのだ。先日は一人を抱き上げたら何人にもせがまれてしまうというテレビ番組と同じ失敗も経験したが、それでも子供と話すのは面白い。保育士になりたいとさえ思うけれど、この歳じゃとても無理。せめて保育所視察を口実にしてこれからも子供たちに会いに行きたいと企んでいるのだが、はたしてよい子の味方になれるやら?。

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