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寝タバコと火遊びはすまじ

森 雅志 2008.02.05
 新年もあっという間に一ヶ月が過ぎてしまった。成人の日の前後やセンター試験の頃に比較的穏やかな天気が続き良かったと思う。また、年末からの雪でスキー場が順調に営業できたことも良かった。土日は晴れることが多く、立山連峰が顔を見せる日が多かったこともスキー場にとっては幸いであった。穏やかな一月であった。
 ところがそんな中で憂慮すべき状況が起きているのだ。それは市内で何件も発生した火災のことである。この原稿を書いている時点で昨年同期の件数の四倍にも達している。ボヤや部分焼のみならず、全焼も何件かあるうえに死者まで出ているのである。昨年の火災発生件数が一昨年より16件も増加したことから、消防局や消防団などの関係者が繰り返し注意を呼びかけてきた中での一月の結果であり、深刻に受け止めざるを得ない。この原稿を通して市民の皆さんに改めて火の用心を訴えたいと思う。
 実は富山県は火災が発生する割合が低い県なのである。昨年の統計がまだ消防庁から発表されていないので平成18年の資料で見ると、出火件数は全国で一番少なかったし、出火率(人口1万人当たりの出火件数)も16年連続して全国最小となっているのだ。富山市も全国の中核市の中で一番低い出火率となっている。つまり富山市は他の都市に比べて火災予防意識の高い市民が多く、消防団も熱心に消防訓練や警戒活動をしてくれるという、そんな地域なのである。そんな富山市だからこそ1月の火災発生が異常に多かったことに注目することが重要だと思う。全国の火災原因のトップは放火であるものの、タバコやコンロ、焚き火といった過失によるものも多いことから、市民の皆さんには改めて火ダネは身近にあることを認識してもらいたい。
 なお、消防法の規定により今年の5月31日までに各家庭に住宅用火災警報器の設置をすることが義務付けられている。この警報機の設置により火災の早期発見につながるうえに、逃げ遅れることを防ぐ効果があるので、各家庭において早期に設置する必要がある。我が家も昨年、家族の寝室など5ヵ所に設置した。費用は安価なうえに取り付けも一人で簡単にできるものなので是非とも早期設置の検討をお願いしたい。(詳細は消防署まで)
 さて、僕も禁煙するまではよくタバコを吸っていた。しかし僕は絶対に寝タバコはしなかった。友人が僕のアパートの畳を焦がしたことでその危険性を認識したからである。その頃、ドアーズの「ハートに火をつけて」という曲が流行っていたが、僕らは「畳に火をつけて」いたのである。忘れられない思い出である。余談だが、その友人は沢山のハートに火をつけて恋の火遊びを重ねるつわものであったが最後には大やけどを負っていた…。戯れに火遊びはすまじという戒めである。
最後に火ダネは身近にあることを重ねて強調してこの稿を閉じたい。ご注意。ご注意。


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