あの長嶋監督が退任した。突然のことに驚いたが、永遠のヒーローは去り際もさわやかである。予想もしないタイミングであっさりと身を処していく。「新しい時代は新しい世代の手で。」というコメントにも厭味がない。立派、立派。 1974年の現役引退の日のことが思い出される。あの日はたしかダブルヘッダーだったと思う。後楽園球場まで足を運んだがチケットが手に入らず、慌ててアパートまで戻ったことを覚えている。部屋のテレビのスイッチを入れた直後に長嶋のホームランが飛び出し,僕は興奮状態だった。テレビから伝わる球場の雰囲気も回を追う毎に興奮度が高まっていたと思う。そして試合終了後に有名なあの「我が巨人軍は永久に不滅です。」の名セリフが飛び出した。僕のテンションはピークに達し、ついにはグランドを一周する姿を見ながら一人で泣いていた。 今回の退任記者会見の様子をテレビで見たが、さすがに涙は出ない。僕も長嶋監督も年を取ったのだろう。さほどに興奮したりもしない。淡々とテレビを見ていた。 いよいよユニフォーム姿の長嶋茂雄を目にすることがなくなってしまう訳なのだから、せめて残りの試合はしっかりと応援しようと今日もナイター中継を見たが、情けなく負けていた。ナントカしてもう一度あの天真爛漫な笑顔を見たいものだと思うが、難しいことなのかもしれない。せめて、ご苦労さんと、ありがとう言っておこう。
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