いよいよ光市の母子殺害事件の差し戻し控訴審判決が下った。予想通りと言うべきか、あるいは当然ながらと言うべきか、無期懲役とした一審判決を破棄し、被告に死刑を言い渡した。少年といえども凶悪で残酷な犯罪を犯せば厳罰でのぞむという裁判所の強い意志が示されたわけだ。真っ当な判断である。 僕は平成19年6月29日のこのコーナーの書き込みで犯人の元少年の荒唐無稽な証言と弁護団の姿勢について厳しく批判している。そしてその文章の末尾を、日本の司法の真価が問われているのだという言葉で結んだのだが、わが国の司法が健全に機能している結果を示してくれたことを喜ばしく思う。 遺族の本村さんが判決後に会見をして述べている中に次のような談話がある。 「刑事弁護における弁護人の正義は、事実を歪曲したり、黒をグレーや白に変えることではないと思う。刑事弁護の正義は事案の真相究明にあると信じているが、事案の真相から遠のかせる弁護方針だったのなら、それは正義ではないと思う。もしそんな意図で弁護団が形成され、弁護がなされたのなら十分に反省すへきだし、こういった判決を招いた一因であると認識しないといけない。」 まったくそのとおりである。最高裁の差し戻しによっての控訴審であるだけに、仮に弁護側が上告したとしても死刑判決が支持され確定するものと思う。死刑廃止論者たちの完敗である。 ところがそうとばかりは言えない戦術が彼らにはあるのである。それは死刑が確定した後であっても再審の請求を出し続けることで死刑の執行がされないという制度を使う戦術なのだ。これは刑事訴訟法の規定によるもので、再審請求がなされてそれが仮に却下されることになるとしても、請求から却下の確定までの間は死刑の執行が止まるという規定に基づいている。したがって、根拠のない再審請求であっても、請求、却下、請求、却下を続けていればその間は死刑の執行がないので、確定した死刑判決を殺してしまう結果となるのだそうだ。死刑廃止論者の奥の手だと言われている。本村さんが言うように、元少年の犯人には「胸を張って死刑をうけいれて欲しい」と僕も思う。罪は償わなければならないものなのだから。
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