チリで2月27日に発生した大地震の被害がすごい。倒壊した建物や崩れ落ちた橋や道路などの被害もすごいが、略奪が横行しているという報道から伝わってくる人心の被害がすごいと思う。食料品を奪うだけではなく、家電製品やガソリンを奪いあっている映像を見て驚いてしまった。軍隊が出動して治安の維持にあたっているようだが、本当はその部隊の力は被災者の救出にこそ向けられるべきものだろう。このままでは助かる者も助からなくなるに違いない。こういうときこそ人心が安定していることが重要だとつくづくと思わされる。 以前に発生した中国四川省での大地震の際にも似たようなことが報道されていた。先のハイチの地震にいたっては、混乱に乗じて子供の誘拐や人身売買まで起きたという報道があった。いったい人間世界はどうなってるんだ!!世も末とはこういうことを言うのだろうなあ。 背景にあるものは社会の後進性や貧困ということだろう。なによりも民族性の違いというものを忘れてはならない。例えば阪神大震災のときにわが国において略奪が発生しただろうか。決してそんなことはなかった。一方、数年前にイギリスの北海沿岸で貨物船が難破したときには海岸に漂着した商品を多くの市民が持ち去っている映像が報道された。占有離脱物の横領である。先進国であるイギリスでもこういうことが起きる。民族性の問題だと思う。 日本人はこういうときにも整然として並び、水や食料を分け合い、お互いに助け合う、そういう民族なのである。決して略奪など起きない。それどころか全国から救援に向かう国柄なのである。 わが国政府が派遣しようとした医療チームの入国をチリ政府が断ったというニュースに首をかしげてしまったが、あまりにみっともない状況を見せたくないということか?…。 そう言えば、以前、田中康夫氏が書いていた本に興味深いエピソードがあった。阪神大震災の際に、イトーヨーカドーは店内にあった食料品を近所の被災者に緊急に無料配布していてのに対して、ダイエーはしっかり消費税込みで販売していたというのだ。真偽のほどは分からないけど…
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