先日初めてアムステルダムを訪れた。ヨーロッパにとどまらず世界中をマーケットとする巨大な花き市場と植物工場の視察をするためである。一言で言えば、圧倒されたという表現に尽きる。予想以上のスケールであった。花きの価格は日本とは比較にならないほど安価であり、種類や取引量も驚くばかりであった。そして街中にはフラワーショップやスタンドが溢れていた。家々の窓際にも花が飾られていて街全体が華やかな風情であった。花文化とでも言うべきものが違うのだと感じた。 さて、滞在中に何度かトラムに乗ったのだが興味深い現象を知って面白かった。市内にはいくつもの路線が走っているので電停で待っていると行き先の違う電車が順番にやってくる。それぞれの行き先ごとに番号で表記されているので分かり易い。面白いというのはここからである。電車によって乗車できるドアが指定されているものと全てのドアから乗れるものとがあるのだ。乗り口が決まっている車両に乗ると車内に係員がいてその係員の前の装置にICカードをかざすことになる。指定されていない車両の場合にはどのドアから乗っても良いので自分が乗車したドア付近の装置にかざせばよい。この違いは行き先に起因しているのだという。つまり比較的治安が良く富裕層の多いエリアを通る路線の場合にはキセルをする人が少ないので車内に係員はいなくて全てのドアで乗り降りができるのだけれども、そうじゃないエリアを通る路線の場合は車内の係員の面前の装置にICカードをかざして乗車する仕組みとなっているのだ。露骨と言えば露骨、合理的と言えば合理的。しかし、あるエリアの人々を信用していません、と言っているの同じことなのだ。この点が面白かったのである。よくそんなことが実施できるなあと感じさせられた。市民から不満や異論が出ないのだろうか。お国柄の違いということなんだろうなあ。
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