今日は大失敗をしてしまった。猛反省、猛反省。自分の仕事の仕方のわきの甘さをつくづくと思い知らされた。まったく弁解の余地はなく、恥じ入るばかり。 いったい何があったのか。それはほぼ十年ぶりに名誉市民を推戴するという極めて重要な式典の、それも名誉市民章をお渡しするというもっとも厳粛な瞬間に起きたのであった。壇上で推戴申し上げる方と向き合い、手にした名誉市民章に記載されている文言を読み上げようとしたところ、金色の台地に刻印のように掘り込んで記載されている文言がライトの反射の影響でまったく判読することができなかったのである。何度も光源との間の角度を変えてみたものの何の効果もなく、途方にくれてしまった。一瞬、アドリブでそれっぽく読んだふりをしようかと思ったものの、めったに機会のない名誉市民章の授与という儀式の重さを思うとあってはならないことだと思い至りあきらめたのであった。介添え役の女性職員が手を添えて光をさえぎってくれたうえに、彼女が小さな声で文言を告げてくれたので何とか口上をすますことができた。まったくみっともない限りであった。僕の仕事ぶりがここにあらわれている。いつだってリハーサルをしないのだから。小さい時からまったく予習をすることなく生きてきた僕の習い性なのである。その結果がこの体たらくなのである。 推戴申し上げた中尾様には深く、深くお詫び申し上げたものの、もっとも厳粛であるべき瞬間を汚してしまった事実は取り消すことなど出来ない。こういったところが僕の弱点であり、限界なのである。猛省しきりである。今日の日の記憶は生涯忘れることはあるまい。修養が足らないことを思い知らされた。 大きなお心でご寛恕いただいた中尾様に心からの感謝。なにとぞこれからもご指導いただくことを願うばかりである。
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