連休にローマに行ってきた。数年前から続けている世界の美しい書店巡りの一環である。久しぶりのローマを楽しめて良かったと思う。充実した連休になった。 短い滞在だったが地下鉄を使いながら、あとはとにかく歩いて歩いての移動であった。正味で言えば2日間しかない滞在時間の中で、今回のイタリア旅行の目的である書店まで歩いていける距離のホテルに投宿できたのは幸いだった。 さて、今日披露したいのは帰国途上でのできごとである。フィンランド経由での帰国便だったのでヘルシンキの空港でEU圏からの出国のためのイミグレーション審査を受けたのだが、大変長い列に並ぶこととなった。そのうちにあの国の人と思しき青年が搭乗券を手にしながら割り込んできた。搭乗予定の便のボーディング・タイムが迫っているから先に出国させて欲しいということらしい。多くの日本人旅行者は不満げな顔をしながらも彼のなすにまかせていた。僕は彼の両手に免税店での買い物と思われる袋が幾つもあるのを認めて英語で注意した。きちんと時間管理をすべきだったのだから列に並ぶべきだと言い、デパーチャー・タイムまで時間があるから大丈夫だと付け加えた。そしたら少し前にいた日本人の女性が彼のチケットを見た後で流暢な英語で「自分の便の方がもっと早いのにこうやって並んでいるのだからあなたに割り込む権利は無い。ルールを守りなさい!」という趣旨の発言をした。それでも彼は英語が分からないという表情を見せながら列を横切ってイミグレーションのカウンターに向かったのであった。驚いていると次にまた同じ国の人と思しき青年が割り込んできたのだ。こんどもまた僕とくだんの女性とで強く注意したのだが、効果は無く、また列を横切って行ったのであった。おそらくギリギリまで買い物などをして時間が無いからと言って割り込むという手法をあちこちで繰り返しているのだと思う。これがあの国のやり方であり、文化なのである。まことに困った国柄である。それにしても立派な日本人女性がいたものだと感心させられた。時間が迫っていても並ぶというルールをちゃんと守る。そしてルール破りに対しては毅然と注意する。これこそが我が国の文化であり、国柄なのである。日本人に生まれてよかったとつくづくと思った次第。良い旅になった。
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