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あふれる(?)笑顔で

森 雅志 2002.10.04
 あいかわらず暗いニュースが頻発している。暗いニュースが暗い事件を誘発するという悪循環に陥っている様相だ。暗く陰鬱(いんうつ)な心が少しずつ人々の中に広がってきているのかもしれない。嫌な世相だと心底から思う。
 誰にしても暗い心より明るい心が良いと思っているに違いない。もちろん僕だっていつも心が晴々として明るく過ごしていたいと思っている。しかしながら日々の営みは色んなことを惹起(じゃっき)するものだし、人と人とのかかわりもまた複雑にして奇っ怪なものだ。したがって嫌なことや逃げ出したくなることにぶつかることもあれば、徒労感や無力感にとらわれることもある。それどころか鬱屈(うっくつ)として厭世(えんせい)的になることさえあるものだ。
 そんな時に大切なのは、いつまでもそのことにとらわれていないように意識的に自らをコントロールすることだと思う。いつも明るい気持ちでいようと努力することが必要なのだ。例えば目覚めた時に眩(まぶ)しいくらいに晴れているとうれしくなる。それだけで身体中に元気がみなぎってくる。同じように、悩み事が生じた時には案ずる前に楽観的に物事を考え、すべてがうまくいった状態を想定するほうが元気が出て乗り切れるものだ。仮にうまくいかないことがあっても、結果が出るまでは明るい気分でいるほうが健康的だ。そういう風に気持ちをコントロールすることは幸福感を感じながら生きていくための知恵であり、大切な生き方だと思う。
 例えばあふれるような笑顔の人と出会うと、思わず心も身体も元気になったような気分になる。そして知らずに「今日もがんばろう」と独り言を言ったりしてしまう。その瞬間に僕も笑顔をあふれさせたらもっと良い。そうやって笑顔を伝染させることができたら、世の中の暗い影を吹き飛ばすことができるに違いないと思う。どうです。みんなで笑顔伝染を仕掛けてみませんか?