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全日本派手ハデ看板大賞

森 雅志 2004.06
 最近どうにも不快感を覚えてならないのがド派手な屋外広告看板である。僕だけの印象かもしれないが、この1・2年の間に市内の、特に41号線の沿線や草島東線、草島西線沿線には巨大で悪趣味な看板が異常発生しているように思う。車で走行すると目がクラクラするほどだ。あたり一面に超ド派手な看板が林立しているので一つ一つの看板が何の広告なのか注意してみないと分からないほどである。あれでは看板としての効果がないのではなかろうか。
 かって、ある友人から趣味の悪い看板越しの姿ばかりを捉えた富士山の写真集を見せられてため息をついていた記憶がある。今、市内を走行していてその時と同じ気持ちになることが多い。単体の看板だけを捉えると案外常識的なものも多いのかもしれない。しかしそれらが集合してくると狂気的な光景を現出するのである。
 屋外広告物を設置するには富山市屋外広告物条例によって市の許可が必要である。ところが条例は広告物を禁止する地域を定めたり、広告物を掲示してならない物件を定めたり、広告物自体の構造上の安全性を求めたりすることが出来ても、広告物の色使いや派手さまでを規制できないものとなっている。色彩など見る者の感性や美的感覚によって評価が分かれる領域は規制が難しい上に表現の自由という設置者側の権利もあるからである。その結果ほとんど野放し状態となっている屋外広告物が商業環境に刺激されて異常発生し、ケバケバでフラッシーな街が出来上がるのである。
 市民全体の共感を得ることが出来ればもっと規制が出来るのかもしれない。あるいは一部の地域で限定的にド派手な看板を排除する協定を住民の総意で締結することが出来ればコントロールできるのかもしれない。そうは言っても簡単なことではない。市民一人一人の感性が違うのだから全体の共感や総意を形成することは至難なことである。結局のところ広告物の設置者の姿勢に期待するしかなさそうである。あるいは屋外広告業界の良識にも期待したいと思う。何とか富山の街並みになじんだ違和感のない広告物群に誘導してもらえないものだろうか。一つ二つと趣味の良い看板が増えていき全体が同調する街を創ることは出来ないのだろうか。皆で考えていきたいものだ。
 そこでこの際、富山市内にある派手ハデ看板ベストテン投票を実施したらどうだろうか。趣味の悪さの順位では営業妨害だと言われそうなので個性的とかシュール度の高さを競うとかと銘打っておいて、その投票結果を公表した上で堂々のベストテン入りした看板設置者の感性を皮肉を込めて称えるキャンペーンを展開してはどうだろうか。意図とは逆にかえって宣伝効果を高めることになってしまうかな?僕は面白いと思うのだけれど‥。