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感想はどうですか?

森 雅志 2006.07
 6月に発生した中心商店街の火災は残念であった。古い木造の店舗などが11棟も被災したのだから大規模火災と言えよう。被災者の中には友人もいて特に心が痛んだ。知事の生家も焼失している。改めて被災された方々にお見舞いを申し上げる。
 ところで、この火災によって古い木造の店舗が密集している中心商店街の脆弱さを思い知らされた。耐火構造建物は隣家が燃えてもほとんど延焼せず翌日から平常通りに営業している店さえあったのに比べ、老朽化した木造の店舗はつぎつぎに類焼していったのである。古い木造店舗が点在する商店街の防火体制の検証が必要である。
 さて、この火災のさなかに何人かの若手の記者から突撃的な取材を受けた。
友人宅が燃え落ちようとする様子に呆然とする僕を見つけて最初にマイクを突きつけたのはN公共放送の若い男性記者であった。「市長!この地区に再開発の動きがあるそうですが?」と彼は聞いてきた。そんなことを言ってる時じゃないだろうと思いながら僕は彼を無視して消化活動を見つめていた。
関係職員と消火活動以外の対策や手配を行った後、鎮火の報を受け再び現場に戻ってみると、今度は全国紙のA新聞の女性記者がくっついてきた。僕はA新聞の取材は受けないことにしているので無視していたのだが、彼女の次の一言で思わず声を荒らげてしまった。なんと彼女は「この火事の感想はどうですか?」と聞いてきたのである。僕は思わず「馬鹿な聞き方をするな!被災者のことを考えてみろ。」と怒鳴っていた。
最後は地元紙のT紙の記者である。夜更けてから電話をしてきて「知事にも聞いたのだが、この火災が再開発などの街づくりに与える影響についてどう考えるか」と聞いてきたのであった。僕はほとんど不機嫌の塊となっていた。「知事の生家が焼け落ちたというのに早速そんな質問をしたのは理解できない。せめてしばらくは被災者の気持ちに配慮したらどうだ。君の人格を疑うぞ!」と言って一方的に電話を切った。
マスコミの一部にはこんな手合いが多い。関係者の心情を慮ることもなく、予断を持って突っ込んでくる手合いである。人としての気持ちを何処かに置き忘れてしまっているのだ。偏りなく取材することの意味をはき違えているか、あるいは人格に問題があるかのどちらかであろう。困った世の中である。