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早朝訓練、全員集合!

森 雅志 2006.12.05
 去る11月2日に抜き打ちで職員の参集訓練を行った。早朝5時40分に呉羽山断層付近を震源とする震度6強の地震が発生したと想定し、電話やFAX、携帯メールなどの連絡網により対象職員を招集したのである。
 対象者2,358人に対し本庁舎や地区センターなどのあらかじめ定められた場所に参集するよう求めたものである。もとより遠隔の市町村に住んでいる者もいることから全員が自家用車や交通機関を使わずに登庁することは無理ではあるが、多くの職員が徒歩や自転車、バイクなどで出勤したのである。中には市外から自転車で来たという者もいるのだから大変である。結果として7時までの参集者が69.6%、7時30分までが89.6%という参集率であった。早朝であることや抜き打ちであることを考えれば驚くべき数字だと思う。
 昨年初めて実施した際には抜き打ちとは言え予定日が漏れていたようであったが、今年は不意打ちを食らった職員も多かったであろう。そんな状況下で連絡を受けてからの平均参集時間が一時間を切っているというのは素晴らしい結果だ。職員の意識の高さがうかがえる。当然ながらそれぞれの家庭には色々な事情もあるだろう。病人がいる家庭や子どもが小さいというケースもある。緊急に招集されても通常通り出勤せざるを得ない者がいるのは至極当然のことである。そういう中での結果だけに価値があると思う。
 僕自身は自宅から1時間10分かけて歩いて登庁した。おかげで徒歩による距離感というものを実感することが出来た。途中で自転車利用の何人かの職員に追い越された。みんな声は掛けてくれたものの誰も乗せてはくれなかった…。(そりゃそうだよね。)
 もとよりこのような訓練に対してはいろいろな意見があると思う。現実に地震が起きた場合には電話網が機能しなかったり、道路が通行不能となったりするのだから訓練どおりにはいかない。そもそも職員自身も被災するのだから登庁どころではないという意見もあるだろう。あるいは自宅近くの被災者の支援を優先すべだとする考え方もあるだろう。しかし時にはこういう訓練をすることで職員の日頃からの危機管理意識の向上を図りたいのである。危機は地震ばかりではない。地域を限定して発生するかも知れない。状況によっては招集可能な職員だけで対応することが求められることもあるだろう。いろいろなケースに備えて、日頃から連絡網を確認することや初動対応を考えることは充分に意味のあることだと思う。
 それにしても高い参集率であった。職員と迷惑を被ったかも知れない家族に慰労と感謝の思いを伝えたい。まことにご苦労様でした。
しかし現実に発災した場合には職員こそが市民を救う最前線に立つのだということを忘れないで欲しい。そして状況によっては非情なまでの決断が要求されるのだということも忘れてはならない。職員の使命は重い。