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新しい名前でリニューアル

森 雅志 2007.07.05
 富山市科学文化センターに行ったことのある人は多いと思う。僕も子どもたちが小さかった頃には何度か連れて行ったものだ。僕は子どもの頃から理科嫌いだったので、(否、正確に言えば理科がほとんど分らなかったので)子どもたちの科学する眼を磨いてやることはできなかったけれども、ときどき科学文化センターに連れて行ってやることで罪滅ぼしをしていたのかも知れない。
 その富山市科学文化センターが今月、生まれ変わることとなる。老朽化に加え、社会の科学に対する関心も変化してきたことから、施設も展示内容もリニューアルしたのである。昨年9月から休館して工事を進めてきたのだがいよいよ来る7月13日にオープンすることとなったのだ。そしてこの際に「富山市科学博物館」と名称を改めることとなった。漢字だけのネーミングなのでいささか復古調の感じもするけれど、「文化」というなんだか曖昧な文字が消えたことで、施設の性格をすっきりと表現できていて良かったと思う。文字どおり博物館法を根拠とした博物館なのである。一新したからには、今まで以上の多くの皆さんに利用してもらいたいという思いを込めて、新しい展示の特徴を述べてみたい。
 富山市は海抜0㍍から3000㍍級の山脈までの広大な市域だとしばしば口にするが、実は不思議の海、富山湾の深海はマイナス1000㍍におよぶので、その標高差は4000メートルにもなるのである。今度の展示の特徴はこの深海から天空、さらには宇宙にいたる郷土の自然のアイデンティティを明らかにし、自然史、理工の両部門にまたがる総合的な展示となっている。
具体的に例示すると、「とやま・時間のたび」として、ナウマンゾウの復元模型や骨格標本、世界最古の埋没林、動くテラノサウルスの模型、恐竜足跡化石など。「とやま・空間のたび」として、ツチクジラの骨格標本、富山に住む動植物の実物標本、強風体験装置、ダイヤモンドダストの実験装置など。おもしろ実験室には錯覚の部屋や進めリニアモーターカーなど。「宇宙へのたび」として、宇宙での衝突実験、体験宇宙旅行など。以上のようにリニューアルにあわせて多彩な展示内容となっており、児童生徒のみならず大人にとっても知的好奇心を刺激するような展示となっている。
また、当館を含む城南公園全体の利用のために、南側駐車場を思い切って拡充した(駐車台数40台から118台に)。これで科学博物館と近代美術館の2施設ともに利用者数が伸びることを期待したい。さらには今度のリニューアルによって、市が運行しているミュージアム・バスの乗り降りが雨天時でも便利になった。利用者増を期待したいところだ。
ところで当館の人気コーナーとしてプラネタリュームがある。若いときから、いつかは誰かとプラネタリュームでデートをしたいと願っていたのに…。夢を果たさないままこの歳になってしまったなぁ。もう無理かな…?