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はばたけ!未来へ!
森 雅志 2014.12.05
数年前に次のような話を教育関係者から聞かされた。
「中学3年生は高校受験の準備のため2学期になると部活動をやめることとなる。その結果、それまで一緒に部活動で過ごしてきたグループがそれぞれの思いで放課後を過ごすことになる。塾に通う生徒が多くなる中で、生活保護世帯の児童は疎外感を感じることとなる。そして知らずに学ぶ意欲を減退させていき、高校受験で不満足な結果となる者や、受験自体を取りやめる者が出てくる。」と。難しい問題である。貧困の連鎖を生まないためにも何とか高校で学んで欲しいのだが…。
また次のような問題も存在する。
両親のいない子や親に育児放棄された児童を養育する児童養護施設の存在は多くの人が知っていると思う。富山市にも愛育園やルンビニ園がある。家庭の事情でたまにしか顔を見せない家族がいれば、別離したまま一度も顔を見せない親がいるとも聞いている。子供たちの心中を思うと胸が痛む。そしてもっと胸が痛むことは、この施設の在籍者は高校を卒業すると園から出ていかなくてはならないということだ。身寄りや支援者がある子は良いとしても、頼る者のいない子の不安を思うと胸が痛む。これもまた難しい問題なのである。
こういった課題に対して何か方策はないものかと考えた末に、平成24年度から少し思い切った対策を運用している。最近になり、一般にはあまり知られていないことに気付いたのでこのエッセイではそのあらましを紹介してみたいと思う。
一つは「富山市学習支援事業」というもの。生活保護世帯の子供や児童養護施設に入所している中学生などを支援するため、家庭相談員が家庭などを訪問し相談・アドバイスをするとともに、学習支援員(教員OB、大学生)が学力や実態に応じた個別指導を継続的に行っているのだ。(なお、全国では生活困窮者自立支援法により平成27年4月から同様の事業が実施されることとなった)
そしてもう一つが、「富山市福祉奨学資金給付事業」というものである。これは、先に述べたような環境にある子供たちが高校卒業後に介護・福祉・医療などを志して資格取得のための学校に進もうとする際に、入学準備奨学資金として30万円以内を、学費奨学資金として年間50万円以内を、生活奨学資金として月額4万円以内をそれぞれ支給するという内容である。進学する学校は県内の大学・短大・専門学校としており、保育士・看護師・准看護師・社会福祉士・介護福祉士・理学療法士・作業療法士などの資格を取得後に県内の福祉事業所で働く意思のある者を対象としている。学費などは市から学校に直接支給し、生活費は本人に支給する仕組みとなっている。なお、この奨学金は将来の返済を不要としている。また保証人も求めないこととした。財源はこの事業に賛同いただいた方からの寄附金を充てることとしている。
この事業は運用を始めてから日が浅いのでまだ奨学資金の対象者が生まれていないのだが、こういった制度を活用していくことで、先に述べたような環境の子供たちであっても社会の中でしっかりと生活していくためのキャリアを身に付けてほしいと願ってやまない。そして、痛めたかもしれないその胸を希望で満たして頑張って生きてほしい。
彼らには果てしない未来がある。はばたけ!その未来へ!
「中学3年生は高校受験の準備のため2学期になると部活動をやめることとなる。その結果、それまで一緒に部活動で過ごしてきたグループがそれぞれの思いで放課後を過ごすことになる。塾に通う生徒が多くなる中で、生活保護世帯の児童は疎外感を感じることとなる。そして知らずに学ぶ意欲を減退させていき、高校受験で不満足な結果となる者や、受験自体を取りやめる者が出てくる。」と。難しい問題である。貧困の連鎖を生まないためにも何とか高校で学んで欲しいのだが…。
また次のような問題も存在する。
両親のいない子や親に育児放棄された児童を養育する児童養護施設の存在は多くの人が知っていると思う。富山市にも愛育園やルンビニ園がある。家庭の事情でたまにしか顔を見せない家族がいれば、別離したまま一度も顔を見せない親がいるとも聞いている。子供たちの心中を思うと胸が痛む。そしてもっと胸が痛むことは、この施設の在籍者は高校を卒業すると園から出ていかなくてはならないということだ。身寄りや支援者がある子は良いとしても、頼る者のいない子の不安を思うと胸が痛む。これもまた難しい問題なのである。
こういった課題に対して何か方策はないものかと考えた末に、平成24年度から少し思い切った対策を運用している。最近になり、一般にはあまり知られていないことに気付いたのでこのエッセイではそのあらましを紹介してみたいと思う。
一つは「富山市学習支援事業」というもの。生活保護世帯の子供や児童養護施設に入所している中学生などを支援するため、家庭相談員が家庭などを訪問し相談・アドバイスをするとともに、学習支援員(教員OB、大学生)が学力や実態に応じた個別指導を継続的に行っているのだ。(なお、全国では生活困窮者自立支援法により平成27年4月から同様の事業が実施されることとなった)
そしてもう一つが、「富山市福祉奨学資金給付事業」というものである。これは、先に述べたような環境にある子供たちが高校卒業後に介護・福祉・医療などを志して資格取得のための学校に進もうとする際に、入学準備奨学資金として30万円以内を、学費奨学資金として年間50万円以内を、生活奨学資金として月額4万円以内をそれぞれ支給するという内容である。進学する学校は県内の大学・短大・専門学校としており、保育士・看護師・准看護師・社会福祉士・介護福祉士・理学療法士・作業療法士などの資格を取得後に県内の福祉事業所で働く意思のある者を対象としている。学費などは市から学校に直接支給し、生活費は本人に支給する仕組みとなっている。なお、この奨学金は将来の返済を不要としている。また保証人も求めないこととした。財源はこの事業に賛同いただいた方からの寄附金を充てることとしている。
この事業は運用を始めてから日が浅いのでまだ奨学資金の対象者が生まれていないのだが、こういった制度を活用していくことで、先に述べたような環境の子供たちであっても社会の中でしっかりと生活していくためのキャリアを身に付けてほしいと願ってやまない。そして、痛めたかもしれないその胸を希望で満たして頑張って生きてほしい。
彼らには果てしない未来がある。はばたけ!その未来へ!