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雪道走行、ご注意あれ

森 雅志 2016.01.05
 新年1月5日号の広報のエッセイのための原稿だから雪道の走行について述べてみるかとタイトルだけを書いてみたが、連日の好天気とあまりの暖冬のせいで1行も書けないまま締め切りの日を迎えてしまった。紙面に穴をあける訳にもいかないので雪道を運転しているイメージを強く抱きながら何とか綴ってみたいと思う。(ひどい仕事ぶり。)
 僕は一度だけ雪道を走行中にホワイトアウトに遭遇したことがある。ホワイトアウトとはいったい何?と思われた方が多いと思うので説明をしたい。暴風雪とでも言うべき大雪が降り、地吹雪が舞いあがり、さらには雪や雲による光の乱反射などで辺りが白一色になり視界が遮られる現象を指す用語である。その時はまったく何も見えなくなり慌てて車を停めたものの、後ろから来る車に追突されるかも知れない恐怖におびえていた。車をわきに寄せようにも道路の左端がどこなのか分からない中で勘に任せて停車させてじっとしていた。やがて視界が回復してくるのを待ってゆっくりと運転を再開したが近くの田んぼに車が2台落ちていて驚いてしまった。わが身の幸運に安堵しつつ落ちている車のドライバーに声をかけたことが忘れられない。なんと2台とも4輪駆動車であった。僕の印象では雪道走行において田んぼに落ちている車は4輪駆動車が多いように思う。雪に強いと過信してしまいスピードを出してしまうからではないかと思う。いくら性能が良くても万能という訳じゃないのだからゆっくり走るということが肝要だと思う。
 雪道走行の際に気を付けていることがまだある。それはアクセルをゆっくりと踏むということだ。始動する際にスリップしてしまうという経験のある人が多いと思うけれど、その原因の多くが踏み込みすぎだと思う。とにかく基本はアクセルをゆっくり踏むこと。そして圧雪状態の道を走るときにはスピードを出さず、停まるときにはなるべく凸凹状態の道路の凸の上でタイヤを留めるようにすることも大切なテクニックだと思う。こうすることで再始動の際のスリップを防ぐことができるからだ。
 もう一つ気を付けていることが歩行者への配慮である。雪道を歩く人もまた転びやすいからである。また、融雪装置がある道路では水を跳ね上げて歩行者に迷惑を掛けることも多い。人と行き交う場合にもスピードを落とすに限るということだ。
 スタッドレスタイヤの性能が良くなったからと言っても万能ではない。交差点で停止・発進が繰り返されるとスタッドレスタイヤが路面を磨き上げてアイスバーンが生成され鏡のようになっていることがある。タイヤのグリップ力を意識しながらゆっくりと走ることが大切だと思う。
 雪道走行での最大の武器は何といってもタイヤチェーンだと思う。最近は使うことがないのでわが家にあるのかどうかも分からないけれど、昔の僕はジャッキで車を上げずにチェーンを装着するのが得意であった。最近は非金属のチェーンや布製のタイヤカバーといったものがあるそうだから備えておくこともいいかもしれない。たとえチェーンであってもスピードを出しすぎると切れてしまうことがある。若い頃にそれで車を傷めたことがあった。苦い記憶である。
 結局、雪道では急発進、急停止、急ハンドルといった急のつく運転を避けるということに尽きるということだ。(暖冬だと言われているのにこんな原稿で良かったのだろうか。)