平成17年8月26日
 婦中地区の熊野神社に伝わる稚児舞を見てきた。江戸時代以来の300年の歴史ある伝統行事であり、国指定重要無形民族文化財に指定されている。4人の子供たちの真剣な表情が新鮮であった。
 同時に保存会の人々や地域の住民の伝承していこうとする熱意を強く感じた。自分も子供の頃に踊ったという人や、長い間太鼓や囃子方で参加してきたという人がたくさんいて、微笑ましく今年の主役である子供たちの舞を見守っている風情に感動した。こうやって地域の共感が醸成され、伝統が引き継がれていくのである。そして地縁のチカラが育まれいく。地域社会のあるべき姿がそこにあると思う。
 僕の住む地域でも、この稚児舞ほどの伝統行事ではないものの、春祭りには獅子舞が行われている。子供の頃は一軒一軒の玄関先で舞われていて、一日中後を追いかけていた記憶がある。しかし僕の獅子舞の記憶はそれ以上には広がっていくことができないのだ。それは僕自身が当事者として獅子舞に参加することがなかったからである。高校を卒業した世代が青年団の活動として獅子舞を担っていたのだが、卒業と同時に上京してしまった僕は青年団活動にかかわることなく歳を重ねてしまい、獅子舞はおろか笛や太鼓にも触れることなく過ぎてきたのである。この歳になってみると、同世代や先輩ののオジサンがときどき獅子舞に飛び入りしている様子がとても羨ましく思う。伝統行事にかかわらずに歳を重ねてきたことのツケだと言えよう。世の中には地元の祭りに参加するためにわざわざ帰省する人も多いと聞く。その思いが大切なのだと思う。僕にそこまでの地域への思いがなかったということだ。そんな思いを持つこともなく酒ばかり飲んでいる青春であった。
 子供の稚児舞を鑑賞しながらいささか感傷的になっていた。
 
平成17年8月9日
 郵政民営化関連6法案が125対108で否決された。それはそれでひとつの結論なのだから尊重されなければなるまい。
 但し、郵政民営化を党の公約として選挙を戦ってきていながらこの段になって民営化そのものの必要性の議論が不十分だとして反対票を投じた自民党議員がいたのには驚いた。反対した多くの議員の主張は地方の小さな郵便局の経営不安に対する手当てが不十分だとか、小泉総理の強引な手法が受け入れられないとかといった主張であり、頭から全て反対というものではなかったと思う。その意味では反対票を投じたことも理解できる。しかしながら民営化自体に反対だという主張は自民党の公認候補として議席を得た立場の議員が今になって主張すべきものでなかろうにと言いたいのである。
 いずれにしても、解散・総選挙となった。暑いさなかの、それも準備をする時間も多くは取れない中での選挙だけに候補者や関係者の苦労が目に浮かぶ。大変だろうなぁ。頑張ってください。
 さて、今日の夕刊を開いたら、先に述べた党の公約自体を否定する議員よりも程度の悪い話が載っていて驚いた。社民党の横光克彦副党首が社民党籍ではこの選挙に勝てそうにないので、この際社民党を離党し民主党から出馬するというのだ。恐ろしく程度の悪い話だ。この議員は前回の選挙で小選挙区で落選し社民党の比例九州ブロック代表として議席を得ていたのだから、いわば社民党籍だからこそ議員でいられたのである。にもかかわらず情勢が悪いから離党して他の党の公認候補として出馬するとは驚くべき変節である。こういうのも変わり身の早さというのだろうか。政治理念や信念というものはどこに行ったのだと言いたい。議員でいたいだけということなのか。社民党もなめられたものだ。