平成21年10月29日
 今日の某紙に佐渡のトキの話題が掲載されていた。昨年9月と今年の9月にに放鳥された20羽のトキのうち9羽が同じ枯れ木に止まり羽を休める様子の写真とともに群れが形成されつつあることや繁殖につながる期待などが述べられていた。
 実は今月の15日、16日の2日間、佐渡市においてで開催された北信越市長会の際に僕も優雅に空を舞うトキを観察することができたのである。最初は休耕田の水溜りで餌をついばんでいる1羽のトキを望遠鏡で見ていたのだが、やがて仲間のトキが一羽、二羽と集まり、最後には五羽のトキが仲良く水辺に集い、秋色を濃くする風景に見事に調和していた。しばらくすると息をのんで観察する僕らにご褒美でもくれるかのように五羽のトキは空に羽ばたき優雅な舞を見せてくれたのだ。静かだが凛とした時間であった。感動の時間でもあった。記事を見てその時を思い出している。
 ニッポニア・ニッポンという学名でありながらトキ保護センターの努力もむなしく絶滅してしまった佐渡のトキ。滅び行くものの哀れとともに開発と自然の調和について大いに考えさせられた出来事であった。しかし最後のトキが生きていたときから導入されていた中国産のトキのつがいがうまく繁殖し、現在は百数十羽にまで増えている。そして昨年は十羽、今年が二十羽、かごの中の世界から自然界に放鳥されているのである。今のところ外の世界に出たトキ同士でペアリングができてはいないものの、やがて繁殖につながることが期待されている。そのためにはかつての田んぼを再生し、餌となるドジョウなどを増やさなくてはならない。人間が静かに見守ってやることも大切だと思う。沢山の写真マニアなどが佐渡に殺到しないことを願う。
 兵庫県豊岡市におけるコウノトリの繁殖の取り組みと共に注目していきたいものだ。