平成24年6月20日
 6月13日に開催されたOECD本部でのシンポジュームに参加できたことは大変に有意義なことであった。ここ数年間取り組んできた、「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」というビジョンが人口減少、超高齢化の波にさらされていく世界の多くの都市にとって一つのモデルであるとの評価を受けることができた。ありがたいことだ。しかし、1泊3日のパリ行きは過激だったかもしれない。ANAのCAの皆さんからは彼女達よりもパリの滞在時間が短いと面白がられたし、会議で同席した各国の皆さんからも驚きの声があった。もっともパリの場合、0泊2日という出張が可能だということも確認できた。ある意味では収穫があったということだ。

 この出張の際に、ANAの特別なご配慮で成田空港のANAのファーストクラスのラウンジに入れてもらうことができた。なにせファーストクラスと言えば、昔、何かの間違いでシンガポール航空で一度だけ乗ったことがあるくらいで、およそ縁のない世界である。ラウンジとは言え、おそるおそる足を踏み入れた次第。さすがにゆったりとした造りで落ち着ける空間であった。しかしそのラウンジの利用者に若者がたくさんいることに驚いてしまった。こっちは初めて足を踏み入れたファーストクラスのラウンジに浮ついてさえいるのに、あたり前の顔をして寛ぐ若者たちに違和感を禁じえなかった。もちろん若くても裕福な層の人はいるだろう。しかしみんながみんなそういう富裕層だとは思えない。おそらく社用でファーストを利用しているか、海外出張などで溜まったマイレージを使用しているのだと思う。それでもあんな若者がねぇ、という違和感はぬぐえない。伊集院 静の「大人の流儀」の一節を思い出していた。(続 大人の流儀 だったかな)
 伊集院氏は、鮨屋に子どもを連れてくるなと言う。社会には大人だけが座れる席があると言うのだ。金の有り無し以前の問題だとする。この国のために懸命に働いている大人が座る場所がある。女、子どもが居てはならぬ場所がいくらでもあるんだ、と言うのである。若者はグリーン席ではなく自由席に乗ればいいんだ、と言っている。伊集院 静さんが言っているのであって僕が言っているわけじゃないですよ。でもまあ、考えさせられてしまいました。とさ。
 
平成24年6月19日
 3月13日のこのコーナーに韓国の旅行会社からのクルーズ船による観光ツアーの補助要請に対して拒否したと書いたが、今日はその後日談。
 当初、韓国で集客したクルーズ船がわが国の数都市に寄港した後、帰路途上で「竹島」に寄るとの内容の記載のある集客広告をインターネット上に認めたため補助を断ったところ、「竹島」部分を「鬱陵島」に差し替えたインターネット広告が確認されたものの、信用できないことからそれでも補助しないこととした。その「ヴィクトリア号」が過日、伏木港に寄港して関係者から大歓迎を受けて帰国していった。富山県は丁寧な対応をする役所で、なんとこの船に職員をお客として乗船させていたらしい。「竹島」に寄るのか寄らないのかを確認したかったということ。はたして結果はどうだったのか。
 先ず、船内には竹島に寄る旨の表示がなされていたとのこと。しかし結果的には天候が悪く島は見えず、寄ることはなかった。ただし、船には「独島アリラン」を歌う歌手が乗船していて船上演奏がなされたとのこと。やっぱりねえ。
 このツアーの集客のために「竹島」が使われたことは疑いのないところである。そんな企画に補助金を出すわけにはいかない。今後もこういった企画への支援要請には細心の注意が必要だということだ。ツアー客が来てくれるからと大歓迎していることが理解できない訳じゃないが、もっと大切なことを見落としてはいけない。富山市は今後もこういう類の支援要請には毅然とした対応をする。富山県も24年度分は執行しないこととしたと仄聞しているが当然のことである。