平成22年5月26日
 落ち着いて机に向かう時間を取れずに過ごしているとアッという間に流れていってしまう。気がつけば今月も最終週である。反省しきり。

 さて、今月の市の広報誌に数を数える単位である助数詞が乱れてきているという話を書いた。話を面白くするために、「とりあえず熱燗を2合ください。」と言ったら通じなかったというエピソードを紹介したところ色んな方から類似の例があると意見をもらった。有り難いことだと思う。
 その中に、「2合ください」という注文のしかたはおかしい、2本下さいと言うべきだとする意見があって驚いた。僕がエッセイで言いたかったことが全く受け止められていなかったからである。助数詞は大切にすべき日本語の機能であり、何でも一個、二個と数える風潮は味気ないと言いたかったのだけれどもなあ…。
 それはそれとして、熱燗を注文するときはやっぱり1合とか、2合とかと言うのがふさわしい。おそらく意見を言ってきた人はあまり外で酒を飲まない人なのであろう。酒飲みの現場を知らないと言うべきか。多くの店において熱燗を提供するために用意されている徳利は1合入りか2合入りのものである。したがって熱燗を注文するときは、1合入りなら2本、2合入りなら1本を欲しいという意味を込めて「とりあえず熱燗2合」というふうに注文しているのである。(もとより1合入りの徳利に正味1合が入っているかどうかは別問題である。) だから、その店のスタンダードな徳利のサイズが分からないときは「とりあえず熱燗2合」という注文スタイルはあたり前のことなのである。意見を言ってきた人は二人で2本飲むものと短絡しているのだろうなあ。2合入りの徳利を1本もらって二人でお酌しあいながら飲むという、まことに日本的な飲酒文化を知らない人なのだろう。
 したがって、例えばビールを注文するときは当然に2本くださいという言い方になるのである。ほとんどの店では普通サイズのビールか中ビンかに限られているからである。(デカンターで出す店は例外的なのだ。) もっとも生ビールの場合には生チュウ1杯とか生ショウ2杯とかという僕にはしっくりこない数え方での注文スタイルもあるようではあるが。やっぱり中ジョッキ、小ジョッキのモンだろう。