平成29年3月21日
 2月27日付の本欄で文部科学省が次期学習指導要領案で「聖徳太子」を「厩戸王(うまやどのおう)」と表記することにしているのをやわらかく批判しておいたのだが、今月末に告示予定の最終版では「聖徳太子」に戻すことにしたらしい。仮に研究者の主張が歴史的に正しくても、我が国の社会に長く定着している「聖徳太子」を使わないことは妥当性を欠いている。良かった。良かった。
 
 さて、4月8日に今年のチンドンコンクールのオープニング・セレモニーが開催される。毎年このセレモニーにおいて市役所職員による素人チンドンが演奏をし、僕も一員としてソプラノサックスを吹いている。2月中旬から練習もしてきたのだが、先週になって今年は参加しないこととした。なぜなら、翌日の4月9日が立候補を予定している市長選挙の告示日だからである。いくら市の恒例行事の公務とは言え、多くの関係者が選挙の準備に真剣にあたっている中で、派手なチンドンの衣装を着けての「竹に雀」のあの調子の演奏はないだろうという意見もあり、今年は取りやめることとした。チンドンコンクールは歴史のある市の一大行事である。したがってオープニングの挨拶は当然のこととして行う。ただ、選挙の関係者のご苦労を慮って僕自身の演奏は慎みますという次第。チンドンコンクールの実行委員会や全国から参加してくれるチンドンマンの皆さんの理解をお願いします。もっとも僕のヘタクソな演奏は誰も期待していないか。そりゃそうだ。

 この際、このブログの書き込みも選挙が終了するまで休止することとします。選挙が終わって落ち着いた頃に再開しますのでよろし願います。
平成29年3月4日
 早朝、玄関に飾っていた男雛と女雛の人形を片付けた。片づけが遅くなったから、………となったじゃない、などと言われないようにと思って。その後、廊下に飾っていた戸出善信さんのリトグラフ「パリの冬」を「パリの春」に取り換えた。玄関には桜の絵を飾った。桜のピンクとマロニエの花の白が好対照である。おかげでわが家が春らしくなった。気候も春らしい。春だ春、いよいよ春が来たらしい。明るい衣装で出かけることとしよう。(3日も続けて書き込みをするなんて、何も起きなきゃいいけれど。)


平成29年3月3日
 オーバード・ホール開館20周年記念事業として開催されている「舞台の上の美術館 Ⅱ 巨無と虚無」のオープニングに行ってきた。ホールのステージや客席、ホワイエなどを使い、造形作家の清河北斗と日本画家の平井千香子の作品を展示し、音と光をあわせて劇的な空間を作り上げるというパフォーマンスである。素晴らしい空間が作り上げられている。作品自体も魅力的なのだが、そこに光と映像と音が付加されることでシュールな世界が強調されている。そこでは来場者も作品の一部になっていた。引き込まれ感動させられ、いやいやなによりも面白かったと思う。お薦めです。開催期間は今日から3月7日まで。入場無料。映像と照明をあわせるパフォーマンスは1日に6回開催。夜の部では舞踊団によるパフォーマンスも加わるとのこと。ぜひ足を運んでもらいたい。パンフレットのコピーも素晴らしい。「舞台が美術館になる、劇場の逆襲。」というもの。お薦めです。
平成29年3月2日
 永田和宏さんの書かれた「近代秀歌」(岩波新書)を読んだ。永田和宏、河野裕子夫妻の歌集は以前に何冊か読んでいるのだが、歌詠みではない僕としてはこの二人のおかげで短歌との距離を縮めてくれる機会をもらったと思っている。さて、「近代秀歌」である。近代以降に作られた歌の中から著者が100首を選んで解説をしてくれるという優れものである。たまには短歌に触れてみるのも良いかと軽い気持ちで読み始めたのだが、著者の次の文章で怖気づいてしまった。「挑戦的な言い方をすれば、あなたが日本人なら、せめてこれくらいの歌は知っておいて欲しいというぎりぎりの100首であると思いたい」と言っているのだ。また著者はあとがきの中で次のようにも述べている。「教養というものを、みずからの知的好奇心によって収集された知識を内包しつつ、その反映としての人間性の発露を言うとするならば、ある程度の、あるいは最低限の共通の教養を持っているということは、他の人々と接するための、つつしみぶかい礼儀の一つでもあると思うのである」と。
 これは困ったぞと思いながら、何とか読み終えることができた。解説されている100首のうち、僕が知っていた歌は、おぼろげなものも含めて、何と11首しかなかった。暗誦できそうなものはそのうちの5首ほどかな。これでは、つつしみぶかい礼儀を帯びて人と接する資格などないということになる。わが身の教養のなさと不明を恥じるばかりである。歌について語る資格はまったくないということが明らかになった。当然と言えば当然ではあるがね。ところで、この「近代秀歌」と一緒にもう一冊「現代秀歌」という本も買ってある。こちらの100首の中に読んだことのある歌が何首あるものやら。今日から読み始めることとします。